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低温物質科学研究センター・センター長挨拶
センター長写真
京都大学・低温物質科学研究センター長
吉村一良 理学研究科教授

低温物質科学研究センターは、

  1. 極低温域における実験・研究に必要な寒剤である液体窒素と液体ヘリウムの全学への供給、
  2. 低温と物質に関する独自の基礎科学研究、
  3. 低温物質科学や低温技術に関する教育、
  4. 低温物質科学の研究に必要な大型実験機器・設備の共同利用提供、
を行っている全学的なセンターです。

絶対温度77K(=-196℃)の液体窒素や4.2K(=-269℃)の液体ヘリウムを用いた極低温度域の研究は、 理学研究科、工学研究科、農学研究科、人間・環境学研究科、薬学研究科、医学研究科、化学研究所、 ウイルス研究所、生存圏研究所等、京都大学の理系研究科・研究所のほとんどにわたって行われていま す。毎年、寒剤を利用する教員、院生、学生を対象にセンターが開催する寒剤利用者講習会への出席者 数は2500人に達し、いかに多くの人達が低温を利用した研究に携わっているかがわかります。低温物質 科学研究センターは吉田地区、宇治地区、桂地区に寒剤供給施設を持ち、寒剤の安定供給のための管理 運営を行っています。3地区を合わせた液体窒素供給量は年間43万リットル、液体ヘリウムは19万リット ルに達しています。ヘリウムは存在量の少ない高価な物質であるため、使用後気化したヘリウムガスは 地下回収配管を通じて供給施設に回収されています。その回収配管は吉田地区では供給施設のある北部 構内から今出川通や吉田参道、東大路通を横断して、本部構内、医学部・病院地区にまで広がり、総距 離は3.5kmにも達しています。

このようなサービス業務と共に、センターは先端低温基礎研究分野、分子性材料開発・解析研究分野、 学際低温応用研究分野、低温機能開発研究分野の4つの研究分野を持ち、量子ホール効果、量子液体・固 体ヘリウム、機能性有機導電分子性物質、超伝導薄膜、ナノスケール磁性体、生体細胞膜等を対象に、 専任教員や関係教員による独自の最先端研究が行われています。平成20年4月に吉田本部構内 総合研究 5号館に新たにセンター独自の研究室・実験室が完成し、専任教員の研究環境が大幅に改善されました。 当建物内には京大最大規模を誇るクリーンルームが完成し、専任教員による最先端研究と共に、共同研 究もできることを目指しています。

低温物質科学研究センターは先に述べたように利用者講習会を毎年行い、寒剤の安全な利用方法に関 する教育を行っています。一方、関係教員の協力も得て、全学共通教育科目として「低温科学」の授業 を開講し、超伝導や超流動のような極低温における奇妙な現象や物性、また磁性、レーザー冷却、超伝 導エネルギー貯蔵、極低温電子顕微鏡、磁気共鳴イメージング(MRI)など多岐にわたる最先端の低温基礎・ 応用研究が第一線の研究者によって平易に紹介され、好評を博しています。また、センター専任教員は 理学研究科における学部・大学院教育にも参加しています。さらに、低温物質科学セミナーや研究交流 会を開催すると共に、低温物質科学研究センター誌を発行し、最先端研究の発表や議論の場、研究者間 の情報交換と交流促進の場を提供し、低温物質科学の発展に努めています。

低温物質科学研究センターのもう1つの大きな任務は、低温物質科学に関する研究用大型機器・設備 の共同利用としての提供・管理・運営です。中でも超伝導量子干渉磁束計(SQUID)は1T機と5T機の2台が 共同利用として提供されていますが、マシンタイムを取り合う盛況で全学的に活発に利用されています。 今後もこのような共同利用機器・設備の充実と使いやすい運用に努力していく所存です。

低温物質科学研究センターは、前身の極低温研究室と機器分析センターの第1期、平成14年4月に両者 が合併して京都大学の1部局・全学的組織として低温物質科学研究センターへと発展した第2期を経て、 平成20年度からは研究・実験設備の充実した独自の建物を持つ第3期へと成長してきたと思います。低温 物質科学研究センターは寒剤の安定供給と共同実験設備の充実により、学内の研究を支援していくと共 に、センター独自の低温物質科学研究を積極的に推進していく所存です。

低温物質科学の発展と活動の円滑な運営に皆様のご協力、ご支援の程、よろしくお願い申し上げます。

2013年4月


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